TypeScriptのインストール (環境準備)
Windows環境において、TypeScriptをコンパイル(JavaScriptへ変換)できるようにするための導入手順です。 Node.jsに付属するパッケージ管理ツール「npm」を使用してインストールを行います。
1. 前提準備 (Node.js)
TypeScriptをインストールするために、Node.jsの公式サイトからWindows用インストーラー(.msi)をダウンロードし、インストールを行います。
これにより npm コマンドが使用可能になります。
2. PowerShellの実行ポリシー変更
スクリプトの実行がシステムにより制限されている場合、管理者権限でPowerShellを開き、ポリシーを変更する必要があります。
# スクリプト実行を許可する設定(管理者権限で実行)
Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope LocalMachine
3. TypeScriptのインストール
プロジェクトフォルダ内でのローカルインストールを推奨します。
npm install typescript --save-dev
4. インストール確認
正しくインストールされたか、バージョンを表示して確認します。
npx tsc -v
TypeScriptの実行手順 (プロジェクト作成から実行まで)
環境が整ったら、実際にTypeScriptのコードを書いて実行する準備を行います。
手順1: TypeScriptの設定ファイルを作る
TypeScriptをJavaScriptに変換(コンパイル)するためのルールブックを作ります。
ターミナルで以下のコマンドを実行してください。
npx tsc --init
結果: tsconfig.json というファイルが新しく作られます。
手順2: コードを書く
すでにある main.ts に、試しにTypeScriptのコードを書いてみます。
// main.ts
// 型(Type)を指定できるのがTypeScriptの特徴です
const message: string = "Hello, TypeScript!";
console.log(message);
手順3: JavaScriptに変換(コンパイル)する
ブラウザやNode.jsはTypeScriptをそのまま理解できないため、JavaScriptに変換します。
npx tsc
結果: tsconfig.json の設定に従って変換が行われ、フォルダ内に main.js が生成されます。
手順4: 実行して確認する
生成されたJavaScriptを実行してみましょう。
node main.js
結果: コンソールに Hello, TypeScript! と表示されれば成功です!
手順5: ブラウザで実行する場合 (補足)
コンパイルされたJavaScriptをブラウザで動作させるには、以下の設定が必要です。
1. tsconfig.json の設定
"module": "esnext" を指定して、ES Modules形式で出力します。
{
"compilerOptions": {
"module": "esnext"
// ...
}
}
2. HTMLでの読み込み
HTMLファイルを作成し、type="module" 属性を付けて読み込みます。
<!-- index.html など -->
<script type="module" src="./main.js"></script>
💡 今後の学習サイクル
基本的には以下の繰り返しになります。
.tsファイルにコードを書くnpx tscで.jsに変換する- 生成された
.jsを動かす(またはHTMLから読み込む)
[!NOTE] 慣れてくると、保存するたびに自動で変換するツールなどを使うようになりますが、まずはこの基本手順を覚えましょう。
実務で必須の3大機能 (Practical Features)
開発現場において、作業効率と品質を保つために「導入して当たり前」とされている標準的な機能です。
1. 自動コンパイル (Watch Mode)
ファイルを保存するたびに、手動でコンパイルを行う手間を省略する機能です。
- 目的: 開発スピードの向上(修正→即時反映)。
- 実行方法:
-w(watch) オプションを付けて実行します。npx tsc -w - 挙動: ターミナルが監視モードで待機し、
.tsファイルの変更を検知すると自動で.jsに変換します。(終了はCtrl + C)
2. ソースマップ (Source Maps)
ブラウザの開発者ツールで、変換後のJavaScriptではなく、変換前のTypeScriptソースコードを表示・デバッグできるようにする仕組みです。
- 目的: デバッグ効率の向上。エラー発生時に、TypeScriptファイルの正確な行数を特定できます。
- 設定:
tsconfig.jsonで有効化します。"sourceMap": true - 確認: ブラウザの検証ツール (F12) > Sources タブで
.tsファイルが表示されます。
3. リンターとフォーマッター (Linting & Formatting)
コードの品質と一貫性を自動的に保つためのツール群です。「チーム開発の法律」として機能します。
- ESLint (Linter):
- 役割: 「文法エラー」や「バグの原因になりそうなコード」を検出し、警告します(例: 未使用の変数、危険な記述)。
- Prettier (Formatter):
- 役割: コードの「見た目」を自動整形します(例: インデント、改行、セミコロンの有無)。
- 運用: 一般的に「ファイル保存時に自動実行」されるようエディタを設定し、誰が書いても同じフォーマットになるようにします。
TypeScript / Node.js 環境のGit管理メモ
TypeScriptやNode.jsのプロジェクトをGitで管理する際のルールと理由のまとめ。
1. コミットしないもの(.gitignore に書く)
node_modules/
- 理由:
- ライブラリの実体ファイル(数千〜数万個)が入っているため、コミットすると履歴が巨大になる。
package.jsonとpackage-lock.jsonさえあれば、npm installコマンドで誰でも同じ環境を1分で再現できるため、共有不要。
2. 必ずコミットするもの
package.json
- 役割: プロジェクトの「設計図」。そのプロジェクトがどのライブラリ(依存関係)を使っているかが記録されている。
package-lock.json
- 役割: ライブラリの「確定バージョン情報」。
- 重要性: これが無いと、チームメンバー間で「インストールされるライブラリのバージョンが微妙に違う」という事故が起きる。必ずコミットする。
ソースコード (.ts, .html, .css, etc.)
- 役割: 自分が書いたプログラム本体。当然すべて管理対象。
3. 設定ファイルについて
.gitignore
- Gitの管理から除外したいファイルを指定する設定ファイル。
- 最低限
node_modules/は記述しておく。
tsconfig.json (TypeScript構成ファイル)
- TypeScriptをどのようにJavaScriptに変換するか(厳しさやターゲットバージョンなど)の設定。
- プロジェクトの挙動を決める重要なファイルなので、作成したら必ずコミットする。